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「仏の妹子」も三度怒るの巻

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昨日は「Dog Garden」のクリスマス会で踊った由紀夫。大活躍です。




Pink Tea Time 2009年11・12月号

「仏の妹子」も三度怒るの巻

十一月七日
 先日、RAB「サタデー夢ラジオ」に出して頂く機会があった。理由は、
「大野妹子に悪口を書かせたら日本一だから、そのコツを話してほしい」
というもの。褒められて悪い気はしないが、私は人の悪口など一度も書いたことがない。なのに一体どういうことか。理不尽とは思ったが、ラジオには出てみたかったので、とりあえず適当なおしゃべりで、お茶を濁しておいたのである。
 さて、それとは全く関係ないが、先日、久々に激怒したことがあった。「仏の妹子」と呼ばれるほど穏やかな性格の私が激怒するなど、滅多にないことなので、ここに人生の記念として書き留めておこうと思うのである。

十一月八日
 先日、仕事で山形に行った。以前から行きたいとは思っていたが、なぜか同じ東北にあって、山形に行く機会に恵まれなかった。
本当にどうしたことか。
山形には確か十数年前に一度、天童に行ったきりである。秋田や山形という日本海側の東北は、韓国のソウルより遥かに遠い感じがする。実際、青森~ソウル間はたった2時間55分だから、JRだと新幹線から快速乗り継ぎで五時間近くかかる山形より、ずっと近いという理屈になるのだ。
さて、なぜ私は山形行きを心待ちにしていたのか。それは山形の「芋煮」というものを、一度は食ってみたいと思っていたからである。
読者の皆さんは、私の元担当編集者:大正なでし子女史を覚えていらっしゃるだろうか。天然ボケ発言で有名な大正女史は、度々小欄に登場し、我々に笑いと生きる勇気を与えてくれた。
例えば、飲み会に遅れてきた彼女の一言。
「すみません、妹子さん。ウチミに不幸がありまして(正しくは『身内(みうち)』)」
 また、スポーツ会館の柔道稽古場で、くるりと前方に一回転し、立ち上がった私に一言。
「まあ、妹子さんって、ウチミがとっても上手いんですね(正しくは『受身(うけみ)』)」
 そして、つい先日会った時も、
「そんなことにいちいち目頭を立てても始まりませんよ(正しくは『目くじらを立てる』)」
「その話には、すごく興味があったので、私、耳をタコにして聞いていたんです(正しくは、『耳をダンボにして聞く』)」
などという発言を連発し、今も変わらぬ「オトボケ力」を発揮してくれたばかりであった。
まあ、それはそれとして…。
その大正女史は、山形は庄内の出身である。そして私に度々庄内地方の大自然の素晴らしさを語ってくれたのだった。特に彼女が熱く語ったのは山形名物の食べ物であり、その中に「芋煮」があった。
「山形県民は川原に集合し、大鍋で芋煮会をやるんです。芋煮なしで山形は語れません!」
「芋煮? 県民が川原に集合?」
 それが一体どんな食べ物なのか、また芋煮の「イモ」は「何イモ」なのか、私には全く見当がつかなかった。
 しかしその後、朝のNHKニュースで、
「日本一の芋煮会フェスティバル!」
「大鍋による三万食の芋煮会が山形で!」
などという話題を見聞きするに至り、雄大な芋煮会のイメージが、私の心に膨らんでいった。そしてなぜか、三万人が集う芋煮会の片隅で、海坂藩の「たそがれ清兵衛」が、家族と芋煮を食う姿を想像したりして、私も「一度は庄内で芋煮を…」と、思うようになったのである。

11月9日
 さて出張の日。
JR山形駅に到着し、夕食時、駅周辺で芋煮が食べられる店を、連れと二人で探した。店を選んで歩くこと三十分以上。そのうち一軒の店に狙いを定め、ついに念願の芋煮を注文したのである。結構歩いたので、額には汗。そして私の鼻穴は、幅1~1.5㎝くらいの収縮運動を繰り返していたと思う。
「芋煮、一人前!」
 すると店員は、思いも寄らないことを言った。芋煮は品切れだという。
疲れと落胆で激怒した私は叫んだ。
「だって、あそこに『芋煮』と張り紙があるじゃありませんか!」
「今日はランチで品切れになりました」
「くッ…(やはり芋煮は大人気なのかッ)」
 一人なら店を変えだだろうが、連れは特に芋煮が食いたいわけではなかった。私の夢のためだけに、他人をもう一度歩かせるのもどうかと思い、私は悔し涙に暮れながら、
「じゃ、豚汁定食」
 と、素直に注文しなおしたが、これが激怒その①である。翌日、さらなる激怒が待ちかまえていようとは、この時の私は知るよしもなかったのだ…。
 
十一月十日
 さて、出張先の高層ビルは山形県所有の物件らしく、一階には山形県の紹介コーナーや県関係の事務所、庶民がくつろげる椅子、広場などがあった。全国どこでも代わり映えしない、所謂「箱物」である。
広場には直径2~3mほどの巨大な芋煮鍋の模型があり、鍋の中は4,5人が対面して座れる椅子になっている。それを見て、「これほどの山形名物なら、ランチで切らすなッ!」と苦々しく思ったのは言うまでもない。
さて、会議の合間の休憩時間。一階の広場で「本日の催事」という掲示板に「一時~ フリーマーケット」という一行を見つけた。
フリマなら興味がある。しかし、もう十二時半なのに、フリマが開催されそうな気配は皆無なのであった。
「出店準備に最低一時間はかかるはず…」
疑問に思い、周囲を見回した。すると掲示板付近の「案内ボランティア」と書かれた机に、一人の老人が占い師のように着席していたので、私は聞いたのである。
「一時からフリマがあるんですよね」
すると、その色黒で白髪の老人が眉間に皺を寄せて一言。
「さあ~、聞いてないなぁ」
「…」
 これが即ち激怒その②である。「本日の催事」を知らないで、貴方は本当に案内人ですかということである。実は置物だったのですかということである。
私は激怒しながら前述の芋煮模型を素通りし、コンビニへ…。激怒を静めようと野菜ジュースを購入し、広場付近のベンチでちゅーちゅーと吸い込んでいた。
すると、目の前の事務所から出てきたネクタイ姿の男が、私にこう注意するではないか。
「すみません、ここは飲食禁止場所です」
「あ、失礼しました。では、どこなら飲食出来るんですか?」
「さあ~、わかりません」
「…」
 これが即ち激怒その③である。それで貴方は注意出来るんですか?ということである。
 この激怒三連発。仏の妹子が激怒することは本当に珍しいので、ここに書き留めておく次第である。

「役に立たないことを除けばね」の巻

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この男も役に立たない・・・。




Pink Tea Time 2009年9・10月号

「役に立たないことを除けばね」の巻

九月一一日
 デートで夜景を見に行ったら、缶ジュース代一二〇円を請求されたという知合いの女性がいた。前に小欄のネタにしたことがあるが、本当に男という生き物の約半分は、役に立たないと思っていいと思う。頼っているとロクな事にならないから、最初から居ないと思った方がいい。
 そんな男の一人に、Oさんの旦那がいる。Oさんの旦那は、屋外で働いており、雨だと仕事がない。趣味はテレビ鑑賞なので、休みの日は一日中テレビの前に寝ているという。
仕事があった日も、夜布団に入るまで何時間もテレビを見続けるので、Oさんの家のリモコンは、ボタンの数字が全て綺麗に消えているのだそうだ。
「旦那の手油(てあぶら)で数字が消えちゃったんですね。だから私が使うときは、1、2、3、4、5って、左から順に数えないとチャンネルがわからないんですけど、旦那は凄いんです…」
 と、恐ろしげに語るOさん。
「指でボタンをさわった感触で、数字が読めるんですから驚きですよ。つまり、モー・リモコン…」
「モー・リモコン?」

九月一二日
 モーパイ。
それは、麻雀用語である。
目を使わず、指で掴んだときの感覚だけで牌(ぱい)の種類を当てる行為だそうだ。今は亡きうちのお父様が麻雀放浪男だったので、聞いたことがある。Oさんの旦那は、まさにその「テレビリモコン版」。日がな一日テレビの前に腕枕をして寝たまま、もう片方の空いた手で、目を使わず、自由自在にリモコンを操るという。
リモコンを使っていても、両の眼(まなこ)はテレビ画面から片時も離れることがない。しかもリモコンは一台だけではないというのだ。
テレビとビデオとスカパーと、リモコンは全部で三台。重さと形状でどれがテレビかスカパーか、瞬時に区別が付くらしい。何の迷いもなく、寸分違わぬ正確さでリモコンを操作するその技は、もし技能オリンピックにリモコン部門があったなら、金メダル間違いなしではないか、とOさんは語る。
「うちの旦那、こんな感じで韓国ドラマを一日中見てるんですから」
「う~む…。なぜその技を、他の場面で使わない…」
 かなり前から、旦那が韓ドラにはまっている話は聞いていた。旦那不在のお茶の間で、あれ?ビデオが回ってるなぁと思うと、
「韓国ドラマのタイマー録画してるんですね」
 と、Oさん。本当に凄い。
 韓国ドラマに出てくる男達は、例外なく皆イケメンであり、礼儀正しく、かつ女に優しい。毎日そのイケメンが手に握っているのは高級車のハンドルか、女のハンドである。決してテレビのリモコンなど握らない。
それを毎日夢中で見ているお茶の間の男が、これほどドラマのキャラから程遠いとはどういうことなのか。ドラマから学ぶことなど、全くないのだろうか。
「それでも良いところもあるんですよ。酒もたばこも、おそらく女もやらない。至って健全な旦那です。役に立たないことを除けばね」
 と、Oさん。蓋し名言である。
 先日、「寂しいから『アイボ』を飼っている」という四〇代の独身男性に会った。広いマンションに一人暮らしだという。アイボは機械仕掛けの犬だが、躾と共に成長していくし、主人が帰ってくると喜んで寄ってくるというから素晴らしい。
 Oさんには、次回「男を捨てて、アイボを飼え!」とアドバイスしたいと思っている。

九月一三日
 先日羽田空港のラウンジで、韓国ドラマの主役のような男性と会った。
そのラウンジは、一定クラス以上のクレジットカード会員は無料で利用できるというもの。私はラウンジ利用とマイレージのボーナス加算が目的で、高いゴールドカードの年会費を払っているのだ。松子様も同様である。
 さて先日、お母様、松子様と三人でラウンジを利用した。しかしカードを持たない同伴者には利用料がかかってしまうため、私たちが、お母様の利用料千五十円を払おうとしていた、まさにその時であった。
「その人達は、私の連れです」
「え?」
 突然、背後からソフトな男性の声がしたので、私たちは思わず振り向いたのである。そこには、カジュアルだが上品なスーツを着こなしたビジネスマンが一人、爽やかに立っていた。そして彼の手には、燦然と輝くどこだかのゴールドカードがっ…!
 そのカードがアメックスだったかダイナースだったかはよく覚えていない。とにかくそれは同伴者全員が無料となるという、ハイクラスのクレジットカードであった。呆然と立ちつくす我々三人。
 するとカードラウンジの化粧の濃い受付嬢が、面食らったように言った。

受付嬢「すると、こちらのお客様も全員、貴方様のお連れということですか?」
カードの男「はい、そうです」
我々三人「(無言でうなずき続ける)」

 その後、男性は我々にニッコリ微笑み、ラウンジの奧へと消えていった。

お母様「お前の知合いかい?」
私「全然知らない」

 ああ、もし私が松子様・お母様連れでなく、たった一人であったならば、恋の一つや二つ芽生えそうな状況ではなかったか! 今思い出しても本当に、心から悔やまれるのである。

九月一四日
 さて先日、年輩の既婚男性と飲んでいて、大変為になる話を聞いた。婚活中の皆様に、念のためお知らせしたい。

★男性Aの場合。
お見合いした相手を、断わろうと思った瞬間。
「お見合いした場所から、さて二人で喫茶店にでも行こうということになった。外に出て、信号待ちしたあと、彼女は自分より先に歩き出した。その時、この人じゃないと思った」

★男性Bの場合
お見合いした相手と結婚しようと決めた瞬間。
「お見合いを終えて帰るときに、彼女は私の靴を揃えて出してくれた。その時、この人と結婚しようと思った」

★大野妹子の場合
せっかちで早足なので、常に自分は、男の前を歩いている。そして、男の靴を揃えるどころか、自分の靴も揃えたことがない。

以上、この話を糧に婚活に力を注ぎたいと思う今日この頃であった。



アラフォーが見る「誘われ王子の傾向と対策」

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大正なでし子女史製作の座布団カバー上の由紀夫。
豪華な創りにご満悦だと思うが、この表情からはわかりにくい。




Pink Tea Time 2009年7.8月号

アラフォーが見る「誘われ王子の傾向と対策」

七月九日
先月、私が近々、
「四〇代以上対象 出会いパーティー」
に参加する予定とお知らせした。
「出会いパーティー」なるものには、以前から参加の機会を伺っていた私であったが、目にする企画の全ての参加資格が「三〇代以下」ということで、人類皆平等でないのだという現実に、血涙を流していたのである。
さて、パーティーは夜七時、場所は弘前の某ホテルで。しかし当日、あいにく私には大阪出張が入っていた。出張より出会いの方が何よりも大事であるから、上司に理由を言って出張をやめようと思ったほどである。 
しかし出張とパーティが、時間的に両立できることが判明した。仕事を終え、青森空港には夕方の到着予定であったが、そこから弘前に直行すれば、三十分遅れでパーティ会場に到着するという段取りである。
ところが。
当日、その飛行機は「機材の調達が出来ない」とかいう意味不明の理由で、出発が一時間十分遅れたのである。つまり、私が弘前に直行しても、もうパーティ終了時間なのだ…。
伊丹空港で、泣きながら主催者に欠席の旨連絡すると、今回の参加費用は、次回パーティ参加費に振り替えてくれるとのこと。それはそれで、無駄にならずよかったと言える。
しかし、後日送られてきた主催者からのメールが、私の心をズタズタに引き裂いたのである。

メール文「電話でのキャンセルをスタッフから聞きました。次回に限り無料で参加できますのでご参加ください。次回開催は十月です。 ちなみに今回「出会い★パーティー」では
12組のカップルが誕生致しました。」

私「じゅ、じゅうにくみもぉ?」
 
 何と、十二組ものカップルが、私という存在を無視して誕生したという。
今、ここで、私は、黄金の十二組入りを逃した。しかも次のチャンスは四ヶ月後…。このことが、後の私の人生にどう影響するのであろう。
…その行方は、誰も知らない。(芥川龍之介『羅生門』風に決めてみました。)

七月十日
そして私は、先日某所で、またまた会議を開いていた。
私を含む独身キャリアウーマン四人が集まり、「今後の人生を如何に生きるべきか」、とりわけ「どうやったら我々は結婚できるのか」について、旨い物をたらふく食べながら、具体的対策を練っていたのである。
そのうちアラフォー二人(そのうち一人をA子としておく)には驚いたことに、一年以上も片思いしている男性がいると言う。しかし、自分からアタックはしていないと言い、理由は一言で言うなら、
「面倒くさいから」
 だと言うのだ。…仰天である。
全く、なんということであろう。面倒だからと何もせずにいれば、このまま五十歳の坂を越えることは火を見るよりも明らかな年齢ではないのか。黙っていれば、白馬に乗った王子様がやってくるとでも思っているのカネ? ということである。
しかし、考えてみれば男子全般にもこの傾向はあったのである。
思い出してみたまえ。今年三月号の小欄に書いた「イマジン・合コン生活」の男子四人のことを…。
彼らに自分たちで合コンを設定する行動力はなく、「お願いします!」と言われるまま、全て私が設定したのである。しかも、うち一人の男は一次会途中、「家でお母さんが待っているから」と夜九時に帰宅した。しらけた美女四人は一次会で帰り、残り三人の男はそれを黙って見逃しているのである。意中の女子が居たのに、である。そして、それっきりである。私が、
「気があるなら、誘えばいいじゃない」
 と言っても、
「誘えるわけ、ないじゃないですか~」
 とため息をついていたよな。
このように「何もしない」、「何も出来ない」ただ、「時の流れに身を任せ~」という人生を送っている原因は、確かに断わられたらどうしようという「臆病」もあるだろうが、私は多分に「面倒くさい」という「怠惰」もあるのでは、と思い始めているのだ。

七月十一日
というのも、実はA子、黙って片思いを続けていたわけではなく、数回相手を食事に誘ったことがあるという。そして彼は誘いに乗り、一緒に楽しくご飯を食べた。
「でも次は、彼の方から誘って欲しかったんですよ~。待っていても来ないので、それっきりです」
 とのこと。しかも、特に「好きだ」という意思表示はしていないという。
しかし、である。もしA子がめげずに誘い続けたとしたら、人生どうなっていたであろうか。そして、好きだとハッキリ告げていたら…? それは誰にもわからないのである。
前述のように、男子も女子を誘うことが出来ず、「誘われ王子」に徹しており、女子は女子で誘われるのを待っている…。これでは全く事態は発展しないのである。
「好きな人は居るけど、面倒くさい」
 という心理は、わからないでもない。というのは、アタックするならそれなりの準備と作戦が必要だからだ。化粧・洋服・下着への気配りもさることながら、デートの場所、段取りも考えなくてはならない。また、自宅に呼ぶことを考えれば、部屋の掃除は必須だし、料理もしなくちゃならない。しかも、すっぴん顔を見られるのも嫌だし~、あ~面倒くさい! となる。色々考えれば考えるほど、そして年を取れば取るほど、恋愛モードは面倒くさいのである。
 しかし私は大変重大な事に、ここで気が付いた。男が「誘われ王子」である限り、それを逆手に取れば、女はかなりの確率で勝利を収めることが出来るのではないか、と。
 私の友人が「草食系男子」について、ネットでリサーチしたそうだ。その結果を報告してくれたのが以下。
「この種の男子を食卓に招いたとするでしょ。テーブルに座っただけじゃ、食べないわけ。女が茶碗を持たせて、箸を持たせて、それから『どうぞ!』って言われて、初めて食べるんだって」
 これである。
つまり女が何から何までやってあげたとしたら、男は確実に付いてくるのではないか…。 
世の中、本当に変わった。しかし、この作戦、試す価値があると思うが、果たしてどうであろうか?



(今月から「グラフ青森」は体裁を変え、隔月刊になりました)

「きっと婚活したくなる」イマジン接待模様の巻

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活躍する「モデル犬」、由紀夫。


Pink Tea Time 2009年 6月号

「きっと婚活したくなる」イマジン接待模様の巻

六月一二日
「きっと、結婚したくなる」
 というラジオのCMが無性に腹立たしい、皆、既に結婚したくなってはいるが、それでも結婚出来ないんだよっという内容の、激怒のエッセイを三月に書いたら、そこの会社「イマジン」の会長から電話がかかってきた。是非私と食事がしたいのだと言う。
 これは一体どうしたことかと、私はイマジンしてみた。
はは~ん…。つまりこれは、
「きっと、毒殺したくなる」
 ということで、私に一服盛るつもりやもしれぬのう、などと戦国武将のように警戒しつつ、懐に隠し剣を忍ばせ(うそ)、新町のレストラン「わいん倶楽部」へと向かった。
 すると正面玄関では、礼儀正しいイケメン青年が緊張した面もちで直立不動の姿勢。虎視眈々と私を待ちかまえていたではないか。このイケメンに殺されるなら、わらわは本望じゃという考えが、一瞬私の頭を過ぎったのは確かである。そろそろ婚活に疲れ、どうせわらわなど、ううっ…、と弱気になっていたせいかもしれない。
 しかし、毒殺はされなかった。
最近、新装開店した「わいん倶楽部」で私を歓待してくれたのは、大層愉快で懐の深いイマジンの会長とそのご子息(正面玄関のイケメン)を始め、総勢七名の社員だった。次々と旨い酒食を饗し、全員が合コンよろしく席替えをして、順繰りに私を接待してくれたのである。このような歓迎を受けたのは生まれて初めてであった。
 このわいん倶楽部、イマジンの関連会社だそうで、メニューは社員が案を出し合い、試食・検討して決めるという。ここには私も何度か来ており、お洒落で美味しいレストランだという認識は持っていたが、「きっと、結婚したくなる」の関連会社とは全く知らなかった。
次々と注がれる美酒のせいか、私は大変良い気分になり、件のCMも、
「結構、よく出来たコピーかも~」
 などと思ってしまったほど。私は大変、接待に弱い人間だったということが判明した。

 六月十三日
 しかし、である。
 そんな気分もつかの間。やはりこのCMには決定的な問題があることに気づいたのだ。
 それは宴もたけなわ、この「イマジン」社員七名の既婚率を確認したときであった。
七名のうち三名が男性で、四名が女性であった。そして、愉快な会長とそのご子息を筆頭に、男性は三人とも既婚者なのに、女性四人はなんと尽く独身だと言うではないか! 
一体どうしたことか。彼女らは皆、妙齢の美女であった。しかも明るく前向きで、仕事もバリバリ出来る印象。一人は二十代だったが、三名は「アラフォー」だそうで、皆「今は仕事が面白くて…」と言っていたが、間違いなく負け惜しみだろう。結婚願望はあると言っていたからね。
なんということであろうか。私はここでも遭遇した過酷な現実に、鼻穴を広げて激怒した。口に入れたパスタが、鼻から出そうになったほどである。
つまり、この「イマジン」という会社社員の既婚率のデータを、今すぐ出せっ!ということである。そして、キミたちは「きっと、結婚したくなる」など、暢気に言っている場合カネということである。だったら自分が結婚してから言ってみろッ!ということである。
 帰り際。
 階段を降りる前、私はレストランに併設されているチャペルに気付いた。幸せいっぱいの二人はここで結婚式を挙げ、隣のレストランで披露宴という段取りである。
私は心に誓った。
「きっと、ここに帰ってきてやるぜ! 待ってろよ、神父!」
 …果たしてそれはいつのことになるのか。いや、実現そのものが疑われるが…。
その答は誰も知らない。

六月十四日
さて先日、レストラン旬洋亭で。
「結婚なんか、もうしなくていいのよ!」と、鮮魚のパイ包み(雲丹ソース)に舌鼓を打ちながら仰るのは松子様である。松子様の結婚に関する持論は、
「男は皆同じだから、財布の厚みで選べ」
というものだ。蓋し名言である。また、
「人口の半分は女なのに、国会議員の半分を女にするという法律が、なぜないんだッ!」
 というのも松子様の持論。本当に素晴らしい。これに関しては、今の青森市長の鹿内氏が、「ナントカ委員の半分を女性にする」と言っているそうだから、直、青森市議会においては実現するかもしれない。そして是非、私も委員の一人に加えて欲しい。即座に「議員半分女性法」を市議会に提出したいと思う。もしこれが実現すれば、青森市が全世界の注目を集めること間違いなしだ。
ところで、「男は皆同じ」という論は、男の性情や行動だけに止まらず、容貌にも当てはまると松子様は仰る。
「試しに結婚式に行ってごらん。四〇代以上の男は、誰が誰だか区別が付かないよ。女は髪型や服で区別が付くじゃないか」
「なるほど。その通りでございますねぇ」
「だから、あんたの相手は由紀夫でいいわけ。結婚なんてばかばかしい。必要な時に男を雇えばいいのよ」
「う、確かに…」
 実は二ヶ月前のこと。
 弘前城の夜桜を、私がたった一人で見に行ったことがあった。そのとき私は、岩木山麓の「いわき荘」に一人で泊まっていた。宿から無料のシャトルバスが出るので、せっかくだからと出掛けたのである。
 そう電話で報告すると、お母様。
「何やってるんだ、妹子。お金で雇ってもいいから、男と行けばよかったじゃないか」
 …本当に瓜二つの親子だったのである。
 このことを松子様に話すと、全くその通りと共感し、こう仰った。
「夫と一緒に行くのは嫌だから、旅行や食事をするときに、エスコート役を雇いたいって本当に思うわ」
「全くです。私は方向音痴だし、ご飯も一人じゃつまらないし…。あ、そうだ!」
デザートの紅茶チーズケーキをパクつきながら深く頷き、私は続けた。
「いっそ職業安定所に『夫募集』の求人票を出したらいいんじゃない?」
金を払うなら仕事だし…と思ったわけだが、すかさず松子様が否定する。
「違う違う! 『夫』募集じゃなくて、『夫役』募集でないと意味がないのよ。だって、男は『夫』の義務を果たさなくても『夫』でいるのが現実だけど、『夫役』だと『役』の義務を果たすことが任務になるでしょ」
「うーむ、さすがです…」
 本当に、頼りになる姉である。
そして、私が近々「四〇代以上対象 出会いパーティ」に行くと言うと、松子様。
「女ばかりで、男が一人ならどうなるの? 椅子取りゲーム?」
 確かに私の周囲の独身は女ばかり。一抹の不安が頭を過ぎった晩春の一夜だった。
 
 
 

クローズアップ独身男 ~青森の婚活市場は今~ の巻

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ドッグダンスチームのメンバーと由紀夫。可愛らしさと醜さのコラボ。



Pink Tea Time 2009年5月号

クローズアップ独身男 ~青森の婚活市場は今~ の巻

五月六日
 NHKの『クローズアップ東北』で、代理婚活が話題になっていた。もちろん私は、
「緊急婚活、堂々開催中!」
という身の上。テレビに食い入るように見入ったことは言うまでもない。
 それによると、青森県の結婚率は全国でも最下位レベル。三十~三十四才では男性の五割、女性の三割が未婚であり、全国ワースト四十四位だという。この数字に離婚者は含まれていないというから、独身者の実数はもっと多いことになる。
 凄い数字だ。
 ということは、おそらくこの年代の青森県男性の約六割が独身ということになり、私にとっての再婚市場は多分、インド・中国の市場のよう。つまり広大無辺。石を投げれば独身男に当たるということである。
しかも、私が求める結婚相手の条件は「戸籍が男であること(ゲイも可)」の一点に絞られるため、婚活市場は果てしなく広い。ざっと言うなら許容範囲は男子十八才から九十三才までということだ(九十三才に意味はない)。
そして、さらに私にとって有利な状況が今、瓢箪から駒のように出現しているらしいのである。この世界同時大不況のせいで経済的に困っている男性が、とりあえずの生活保障動機で結婚相手を捜す例もあると言うのだ。
 これだ!
私が狙うべきニッチ市場はここかもしれない。まさに「機は熟した」ということである。

 五月七日
 しかし、世の中はそう甘くは無かったのである。私の婚活を阻んでいる大きな要因が一つあったのだ。それは周囲の独身男性は全て、私より遙か年下で、最低十才は離れているという点だ。
 本当に不思議なことだ。
 だって私の周囲に四十代の独身女性は、ゴロンゴロンと転がっており、結婚している女の方が逆に少ないという惨状なのに、四十代以上の男は尽く妻帯者なのだ。
一体どうしたことか。
とはいえ、私は年下夫でも全く構わないのだが…。
「でも日本の男にそんなのいない。十歳も年上女と結婚するわけないじゃ~ん」
 と言うのはMちゃん。彼女も期せずして独身を守り続けている同年代の一人だ。
 その通りである。確かに年上妻は珍しくないが、日本では五才以内がせいぜいで、それ以上だと芸能界や野球界の話となってしまうのだ。
 例えば二十一年前、小柳ルミ子が十三才下の無名ダンサーと結婚した衝撃的事件にそれは代表されるが、最近では四十才で十六才年下俳優と結婚した秋本奈緒美、四十四才で八才下のバレエダンサーと結婚した真矢みきが有名。また野球界では、友達のお母さん(二十三才上)と結婚した元巨人のペタジーニを筆頭に、中日の落合監督(十才上)、気障なイチロー(八才上)、レッドソックスの松坂(六才上)と、枚挙にいとまがない。
ところが、これほどの年上女房は日本人夫婦には希な事例であり、、実際私の知人の中に、その種の日本人夫婦・恋人はいない。
 一方、相手が外国人だと、俄然話が違ってくるから凄い。以下、知人の日本人女性の例を挙げてみよう。

例1 専業主婦Kちゃんの夫はアメリカ人で一〇才下。夫は年齢差に関して、「全く関係なぁい!」と英語で言っている。
例2 アメリカ在住でキャリアウーマンSちゃん(五十一才)の彼氏はアメリカ人で八才年下。「ご飯の後、帰ると思ったら、勝手に私のベッドで寝ていた」という。前の夫も五才下。
例3 そのSちゃんの同僚女性は二十歳以上年下の黒人男性と交際中。
例4 友人Tちゃんの叔母さんは五十才の時、三十七才のキューバ人と結婚。「カストロに会いたい!」と単身渡ったキューバで、ガイドをしていた男に口説かれたという。このキューバ人男性は結婚後日本に住み、なぜか一昨年『紅白歌合戦』にエキストラで出ていた。

強く勇気づけられる事例の数々である。外国人男性は誠に勇猛果敢。いや、年齢に縛られないと言う点で、逆に自然体と言うべきかもしれない。
一方、日本人男性はどうであろうか。
以前お見合いパーティーで、ただ太っているだけの男に、
「(オバサンは)パス!」
 と素通りされた三十代後半女性Aさんの例からもわかるように、男は「ただのデブ」でさえ身の程を知らず、若い女を求めているということである(去年の11月号参照)。
 全く、激怒である。
 しかし、ここで考えてみよう。日本人の平均寿命は今、女が八十六、男が七十九であり、その差は約七才。ならば女が七才、いや十才年上であったとして、何の問題があろうか。いや、いっそのこと「十才姉さん女房」を日本の標準カップルにすると、日本国憲法に定めてもらいたい。 

五月八日
 それに若い女相手なら、男はもっと恋愛の主導権を握って然るべきだが、言い訳ばかりで自分から動かない男が多いことに、私は著しくイラつくのだ。自分から女を誘えず、誘われるのを待つだけの「誘われ王子」が多いことは、最近国民的な問題になりつつある。
 それにもうひとつ。年上なら、
「デート代くらい出せっつーの!」
と言うことである。
 次に挙げるのは友人の実話。相手の男には安定した職業があり、年も上であったという。
 公園デートで「何か飲みますか?」と聞かれたので、「はい」と答えると、間もなくジュース二本を持ち、帰ってきた男の一言。
「百二十円です」
「えっ・・・」
 これがもし私なら、真空飛び膝蹴りをお見舞いしていたろう。間違いない。

五月九日
 折角だから、ここで女にもてる為の必殺技をご紹介しよう。実に簡単だ。
 必殺技1 女の荷物は持つ。
 必殺技2 女のためにドアを開けて待つ。
 必殺技3 女に席を譲る(女が立って自分は座っている男は、問題外)。
これらを迷わず実践することだ。すると、たいていの女はイチコロ。日本女性が外国人の男にコロッとよろめく理由は、外国男は女の年齢を問わず(つまり、老女から幼女まで)にこれが出来るからだ。嘘だと思ったら試してみてほしい。そして、この文章を読んだ独身男性の実践報告を、私は心待ちにしている。
同時に、私にこれらを実践してくれる男も、私は心待ちにしている。
(来月は四十代以上のお見合いパーティ参加予定。がんばります)
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