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「“ブルワーカー”って何?」の巻

4月18日
「あ、ブルドック!」と、小学生によく言われる由紀夫。


Pink Tea Time 1999年1月号
 
12月20日(日)
 フリーマーケット会場。
 そこは、ドケチ主婦が本領を発揮するヒノキ舞台である。
「30円です!」
「20円に負けてよぅ 」
「いやぁ、それだけは奥さん・・・」
 などという底レベルな争いが熾烈を究めているのだ。負けてもらえなかった主婦は、また会場を一周し、同じ所でもう一回値切ったりしている。数値的にはママゴトより低レベルと言えよう。
 もちろんフリマを利用したことはあるが、出店したことは一度もなかった私。今回、「いつかはフリマ・デビュー!」という夢を、ついに実現することになった。
 売りたい物は色々あった。
 まず、台所の下に粗品でもらった洗剤が約20本。わが家では洗剤を20倍に薄めて使うので、一本で約一年は持ってしまう。だから洗剤をセッセともらったものの、使い切るのにあと20年かかる計算になる。
 次に、燃えないゴミから拾ってきた食器。きれいに洗って売ったら、実際千円位になったから、ゴミの日も本当に気を抜けない。常にお宝は隠されているのだ。
 それから、10年前にもらった本場奈良県産の高級刺し身包丁(推定三五〇〇円)。刃渡り25センチはある伝統の逸品である。しかし私が魚をおろすワケがなかった。で、アメリカの友人に、
「これは日本の名刀だ」
 とか言って贈呈しようと思ったこともある。が、なんとなく物騒なので、10年そのままにしてしまったのだ。
 さらに、住宅展示場でもらった木製の吊り棚3個。同じ建設会社の展示場に、行くたびにもらっていた景品だ。
 しかし、何より売りたかったのは、5年前に買った「ヨーグルト製造器」であった。
 友人に薦められ、一万円で買ってはみたが、結局蓋も開けていない。私がそうまでしてヨーグルトなんぞを作るほど、「ヨーグルト好き」でも、マメでもないことに、買ってから気づいたのである。
 そういえば15年前に母に買ってもらい、三日でやめた「三味線」というのもあったよな。でも、あれを売るのは母に悪すぎる。そこで、とりあえず三味線は、そのまま保管しておくことにした。
 
12月21日(月)
 「ついでに売りたい物はないか?」と、松子・梅子両お姉様にも声をかけてみた。すると、
 松子様 「うちの夫が買った『筋肉増強機ブルワーカー』はどう? 使っているのを、最近見たことないからねぇ」
 梅子様 「それに松子様の家の階段下は、お宝の山ですよ。御歳暮や引き出物が手つかずのま、20年間も積まれ続けているそうです」
 松子様 「そうだったぁ?」
 梅子様 「あと、お母様の食糧庫。先日はバーモントカレーが8箱、『ほんだし』が7箱出てきました。特売のたびに、安いと言って買って来ますから」
 松子様 「そうそう。ま、私も古着なんか整理しとくわね。それにしても、 “ブルワーカー”って何?ブルドック並みの筋肉になるわけ?」 
梅子様 「ブルドックじゃなく、ブルトーザーじゃないですか?」
 私   「・・・・・・・(雄牛だと思いますけど)」
 ということで、とりあえず家族の協力も、みっちり取り付けたのである。

12月22日(火)
 その後、松子様から巨大な段ボール箱が2個、宅配便で届けられた。梅子様は巨大な風呂敷包みを2個、直接届けてくれた。
 梅子様の風呂敷には、もちろんお母様の古着もかなり入っていた。お母様は洋服タンスに服を掛け過ぎ、ある日、タンスのポールを崩落させたという伝説の持ち主である。
「私には、何も欲しい物はないよ。死ぬまでもう何も買わないんだ」
 と言いながら、いつもセッセと買い物をしている。要注意人物だ。通販も大好きで、「ママさんコーラス大全集カセット」とか「プチ茶ダンスセット」とかを、いつも買っているよな。
 本当にすごい。今回届いたのは古着だけだったが、まだまだ家にはお宝が埋蔵されているらしい。大野家のワンダーランドぶりを垣間見た出来事であった。

12月23日(水)
 商品に値段を付けるため、私はスーパーや100円ショップを数件廻り、前もって熱心にリサーチをした。本業でもこれくらいすれば、もっと出世できるかもと思ったくらいの念の入れようだった。
 いよいよ、フリマ当日。
「荷物運びは仕方ないけど、後は絶対手伝わないからね」
 と言っていた夫だが、やはりドケチ天性の血が騒いだのであろう。会場に着くや否や、「ああ、だめだめッ! そんな陳列じゃ」
 と言いながら、いつのまにか仕切っていたのである。
「洗剤は前じゃなく、後ろに置く! これは絶対売れるし、手にとって見る必要がないからね。それに後ろに目玉商品があれば、前の商品にも自然と目が行くだろ」
「ふうん・・・」
「ああっ! バスタオルのギフトはいくつも一挙に出さない! 一つしかない物に客は飛びつくんだ。そして買った人に、『実は』って奥から出して見せると、これがまた売れるんだなぁ」
「へえ・・・・」
「あッ、いらっしゃいませ! 80円です!」
「・・・・・・」
 おかげでその日の売上は、二万六千円を突破した。
 80円の洗剤に、開店と同時に主婦が群がり、その場は異常な熱気に包まれていたと言っていい。住宅展示場の景品も完売し、刺し身包丁なんかは二千円で男性がお買い上げ。お姉様たちの古着も、予想を上回る売れ行きだった。
 ただ一つ心残りなのは、「ヨーグルト製造器」が売れなかったことである。一万円もするのに、千円でも売れなかったのはなぜ?
もう一度フリーマーケットをやり、今度は絶対売ってやる! と、私はなぜか固く決心したのだ。
 松子様の階段下のお宝も、気になるしね。
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