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「翁がすっくと立ったとき、隣の女性は激怒して言った」の巻

4月4日
 「チーム・マイナス1.2?」の由紀夫。(理想体重は8?です)



三月二日
「エロビデオはリサイクルの優等生です!」
 というご批判が、某読者からあった。
「男性は、夜中見るエロビデオを、一日にせめて一本減らし、エコに貢献して欲しい」と書いたところ(二〇〇七年十一月号)、前述のようなご指摘が。なんでも、その方は、
「エロ本は本人で完結することが多いが、エロビデオは次々と男子チームの間を流通する。二十五歳で買ったエロビデオを二十六で友達にあげたが、まわりまわって二十九歳で自分の元に返ってきた時の感激は忘れられない。昔お世話になった先輩に、不意に再会した気分だったなぁ」
 だとか。なるほど。それは感激もひとしおであったろうと推察される。
ところで、ここで言う「男子チーム」とは一体何の「チーム」なのか。まさか「チーム・マイナス6%」とかではなかろうね。または、「チーム・バチスタ」とか。
 
三月三日
 それにしても、劇場やレストランでいつも思うのは、一体男はどこで何をしているのか?ということだ。
 映画館の客なら、男性も結構な割合を占める印象があるが、歌舞伎や芝居になると、全体の5%くらいではなかろうか。レストランも然りで、私の行きつけの店「旬洋亭」の奥さんも、「奥様層が動かないと、客足が伸びない」と言っていた。カルチャーセンターも多くは女性。日本の文化のほとんどは女性が支えていると言って過言でない。
 そしてこの私の長年の疑問を一挙に解消する映像に、先日遭遇した。それは、
「ドーム会場で、人気アニメの限定フィギュアを販売中!」
という内容のTVニュースであった。見れば、巨大な空間には異様な熱気が立ちこめており、そこでひしめく男性客の群れ、群れ、群れ…。売られているのは、色とりどりのロボットや、十八頭身くらいの少女の人形ではないか。少女の人形はウエストが一様に異様なくびれ方をしており、顔は甘栗をひっくり返したような逆三角形、目は顔面積全体の三分の一。
本当に凄い。男はこんな場所で一堂に会し、人形を買いまくっていたのである。しかも大枚をはたいてね…。恐るべし、オタク族。これも文化と言えば、文化なのか?

三月四日
 そういえば最近、東京の映画館で『呉清源―極みの棋譜』という中国映画を見たが、この劇場が凄かったね。映画は日本で活躍した、実在の中国人天才棋士の生涯を描いたもの。日本人の俳優も多数出演しているが、私は主役のチャン・チェン懐かしさに、足を運んだのである。(彼は、トニー・レオンとレスリー・チャン主演の『ブエノスアイレス』に出ていたよね。後半、トニーに心を寄せる、なかなか泣かせる役でした)
 さて、劇場に客は二十人くらい居たであろうか。男女半々くらいだったが、平日の昼、この映画にこれほどの客が入るとは、さすがは東京である。そして、客の平均年齢は、ざっと見たところ約七十歳。これも青森ではあり得ないことだろう。
映画の内容はといえば、木々が風にそよぎ、鳥の鳴き声が聞こえ、怪しい宗教団体は念仏を唱えながら街を行進する。そして時々碁盤を挟んで、じっと無言で考え込む二人の男の映像が…。
そんな映像が連続したせいだろうか。始まって五分で、各所からイビキが聞こえ始めた。
一人の老女が、トイレが近いのか、間もなく席を立った。五,六分後に帰ってきたが、困ったことに老女は、既に自分の席の場所を忘れてしまったのである。暗闇でバヤバヤと慌て、暫くうごめいていた。そして、ようやく座った。
イビキの合唱の中、次に動きがあったのは、私の斜め前に座っていた翁(おきな)である。さっきの老女が自分の席を思い出し、観客が皆、一安心して間もなくであった。
そもそもその翁は、映画が既に始まって二、三分後、劇場に入った人物であった。明るくてもやっと歩いているのに、暗闇なので両手を宙に泳がせながら手探りで席を探し、やっと座った。その間、多分四、五人の客の頭や肩を撫でていたと思う。それだけで、目障りだった。
ところがどうしたことか、翁が選んだ席は、両隣に既に客がいる席だったのである。他にたくさん空席はあるのに、一体なぜわざわざ、人と人の間にすっぽり収まろうとしたのか? 途中で自分の心臓が止まったとき、誰かに看取って欲しかったのか? 
そういう疑問がグルグルと私の頭に浮かんだものの、翁のことなんか考えている場合ではなかったのだ。私は今、映画に没頭しなければならない。だって一八〇〇円も払ったんだもんと思い、懸命に単調な物語をじっと見ていた矢先のことである。
翁は突然すっくと立ち上がり、劇場の外に出た。翁の席は通路から二列目だったので、通路側に座る隣人の視界を遮り、ごそごそと音を立て、膝をまたぐようにして出ていったのである。通路側に座る人は三十代くらいの女性であった。その女性は、これで二度、翁に膝をまたがれたことになる。
そのまま、五分くらい過ぎた頃であろう、さっきの翁が帰ってきたのは。しかも翁は不思議なことに、またもやさっきの女性の膝をまたぎ、わざわざ同じ席に座った。
しかしまぁそれも、一度きりならいい。誰だって尿意を催すことはある。特に今回は老人であるのだから…、そう客の誰もが思ったであろう。ところが翁は五回もこれを繰り返した。しかも五,六分おきに!
五回とも自分の席を覚えていたのだから、それはそれで凄いとも言える。しかし五回目に翁がすっくと立った時、隣の女性は激怒して言った。
「もう帰ってこないでくれませんかっ!」
 すると、翁。
「え? それはなぜじゃ?」
「映画に集中できないんです」
「…え?」
「だから、映画に集中できないんですっ!」
「え?」
 翁は耳も遠かった。
ついにブツブツと文句をたれつつ退場したが、その後の翁の行方は誰も知らない…。
『呉清源―極みの棋譜』という映画であったが、私はそこで、「老いの極み」を見た。そして肝心の『極みの棋譜』の方は、ほとんど覚えていない。
 私は思った。近々映画館も切符もぎりの他に、「老人係」を雇う必要があるのではなかろうか。または「老人専門の日」を作り、その日だけオトボケ行為も解禁にするとか。
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