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毎晩何処へ? 昼と夜の顔を持つ猫の巻

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コイツのために、エアコン(17年前の物)を買い換えるか否か迷っているわけ。
私はいらないんだけどね、エアコンなんて。




Pink Tea Time 2010年5・6月号

毎晩何処へ? 昼と夜の顔を持つ猫の巻

三月十日
あれは去年の春。桜も散ってしまったある日の、夕暮れ時のことである。
由紀夫が通う「犬のようちえん」付属動物病院の待合室で、ふいに声をかけられた。

「妹子さん・・・」

振り返ると、腕組みをして床に目を落し、呆然と座っていたのは、Aさん(四十代男性)であった。
Aさんは去年までの同僚である。顔を見たのは久しぶりだったが、あまりに呆然としているので、何か不幸があったのかと思って聞いてみると、

「いや、猫の予防接種に来ただけだ」

 と、やはり床に目を落したまま、ボソッとつぶやくのである。
 別に不幸がないなら、なぜ下ばかり見ているのか。百円玉でも落ちているのかと思ったが、そうでもない。
なんて暗い・・・と私は思ったものの、そういえばAさんは、いつも暗い顔で呆然としている人だったと思い出した。
隣の椅子に置いたクレートには、確かに猫が入っている。クレートを挟んで座っているのはAさんのお母さん。お母さんの方は、呆然としたAさんとは打ってかわって、きびきびとした話好きな人物であった。

「へえ猫飼っていたんですね」

Aさんはやはり、床を見たままだったが、お母さんが色々と、この猫について教えてくれた。それが大変に興味深い話だったので、是非ともここに書き留めておこうと思ったのである。

三月十一日
 その猫の名前は「アカ」、多分十六才。
なぜ「多分」かと言うと、アカがAさんの家に来てから十六年年経つからだと言う。
ところがこの猫、普通の飼い猫ではなく、野良猫なのだとか。

「え? 野良猫に予防接種ですか?」

私が少し驚くと、お母さんはさらに驚くべき話をする。
アカはAさんの家で、毎日三食、元気にメシを食べて十六年になり、予防接種も毎年欠かしたことはない。ところがアカは毎日、夜になると必ず姿をくらます。つまり十六年間、夜は家に居たことがないと言うのである。

「ジュ、ジュ、ジュウロクネンカン?」
 
私は驚きを隠せなかった。なんたって十六年間、毎晩外泊である(ちなみに十六才だから、高校一年生になる猫ということである)。そんな歳になるまで、出ていく猫に文句も言わず、黙って三食昼寝付きだ。素晴らしい厚遇である。世の中にこのような大甘の親が居て、いいのかということである。
しかも、である。もっと驚くべきことが、次の瞬間明らかになった。Aさん親子は、アカが毎晩、一体どこで寝ているのかを知らないのだと言う。
 お母さんは不思議そうに、こう語る。

「雨の日でも、決してアカの体は濡れていない。だから、きっとどこかの家で寝ているんじゃないかと思うんだけどね」
「う~ん…」

私はある種の感動を覚えた。この「アカ」という猫の人生(?)に感動したのである。

三月十二日
 例えば、である。
れっきとした妻子がありながらも、脇(わき)に同棲している女がいる。そしてその女は、一緒に住んでいる男が、まさか既婚者だとは夢にも思っていない・・・。
こんな二重生活をしている男のケース、たまにあるよね。
実際、私の知合いがそうであった。

「もの凄く優しい人でしたから、奥さんから電話が来るまで、信じられませんでした…。私、男運が悪いんです。騙されたんです」

と、半分あきらめ顔で語ってくれたことがある。

 私は、想像してみた。ひょっとして、この猫の「アカ」は、夜になるとどこかの飲み屋で「アオ」とか呼ばれているのではないか、と。そして、飲み屋のママに、
「アオちゃ~ん、ほら、大間のマグロよ~」
「ふふふふ、アオちゃん! 今日は、豊杯の生酒もあるわ~」
などと猫かわいがりされ、酒池肉林の毎日を送っているのではないか・・・などと想像してしまったのである。
いやいや、アカは別に、飲み屋で遊び暮らしているわけではないかもしれない。どこかの警備会社で夜警の仕事をし、しっかりと自分の妻子を養っているのかもしれないのだ。しかも十六年だから、養っている妻子も一組どころじゃない。四,五組あるかもしれないよな。
いやあるいは毎晩、アカはイカ釣り船に乗って漁をしているのかもしれない。イカ釣りは夜が勝負だからね。冬は寒いよ~、イカ釣り船。コタツで丸くなるのが当たり前の猫には、辛い商売だ。偉い偉い。
いや待てよ。違う違う。だって雨でも体は濡れていないんだから、やはり漁船ではないな…。じゃあ、どうやって5組の妻子を? 
いずれにしても、三食食いだめしてるのは、食費節約だな…。
など、アカの二重生活を想像し、大変に感動してしまったのだ。

それにしても凄いのは、実はアカではない。アカよりも、このAさん親子ではないか。猫に行く先も聞かず、ただ利用されているだけのAさん親子って、一体?
そして、アカの後ろを深夜に追跡し、正体を突き止めてやりたいと思うのは、私だけなのか?


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COMMENTS

興味深いお話し

昔、うちには朝になると庭の窓でニャーと泣いて待っている猫が来ていました。
窓を開けるとひょいと入ってきて一日我が家で過ごし、夕方ホイっと出してやると自分ちに帰るのでした。
うちでは食事もウンチもシッコもせずに、ただ寝ているだけ。
グレイの猫だったので私は「グレ」と呼んでました。
品のある素敵な猫でした。

今はもう会えません。
悲しい。

こんばん~

今回のもエッジ、ありますね。。。(いい意味で)^^

 体調不良はないですか?(杞憂ならスイマセン)

ウチは犬派ですけど、お向かいが猫派なので分かる気が、、、お向かいのプレイボーイにゃん子は発情期になると、いい声を出して泣いて><います。
一瞬、赤ちゃん泣いてる!!のかな?ってアセった時もあります。

ウチ犬は「ちゃん」つけなんで甘やかしています~(笑)。


No title

ぷりん様
それもまた、興味深い話ですね。
映画になりそうです。

ふらまゆ様
「ちゃん」ですかぁ。そりゃ、甘いですね。
大甘です。
うちの由紀夫のことは、たまに「この男!」と呼んでます。

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