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運命は変えられないの巻

痩せました。
大晦日の由紀夫。0.8?痩せました。



Pink Tea Time 2001年 12月号

運命は変えられないの巻

11月16日
 ますますドケチモードに拍車をかけている我が家の、ある朝の会話。
「ちょっとぉ。このコーヒー、ただの茶色いお湯なんだけど…」
「当たり前だろ。僕がもう、二番煎じを煎れた後だもん」
「・・・」
 7月号でご報告した通り、私のコーヒーはいつも、夫が飲んだ出がらしで煎れるというコースが、春から定着していた。ところがさすがドケチの神様、夫。休職をきっかけに、今まで濃いコーヒーを飲んでいた贅沢を反省し、自分でも二番煎じを飲むよう体質改善していたらしい。
 うーむ、夫恐るべし。
 ついでに言えば、コーヒーメーカーは景品で貰った物でタダ。それでも保温にすれば電気代がかかるので、煎れたコーヒーはすぐさま小型ポットに入れる。外出時はポットを持参。休日でも、ポットのコーヒーを小出しに飲むという仕掛けだ。
 私は通常、コーヒーでなく冷たい緑茶を入れて通勤する。中の緑茶はもちろん、旅先のホテルから持ってきたティーバック。または実家から貰った香典返しのお茶を水出しするのだ。

11月17日
 右隣の席の同僚は、毎日二本、ローソンから購入したペットボトルのお茶をぐびぐび飲んでいるが、この人は大富豪の娘なのかと私は日々疑っている。
 左隣の同僚も、つい最近まで右隣と同じ放埓な習慣を持つ人物であった。ところが私のポットを見て、人生を変えたようである。しかも、最新式ポットを店で発見したと、私に喜んで報告してくれたのであった。
 それは、直接ポットに口をつけて飲めるという、哺乳瓶タイプのものだった。
 うーむ。なるほど・・・。これだとカップを使う必要がなく、カップを洗う時間と水、加えてカップを置く場所まで節約できるという三拍子そろった節約タイプ。たいした優れものだ。勿論、逆さにしても水は出ない設計になっている。
 左の同僚は毎日、そのポットにチュウチュウ吸い付き、満足げに水分補給をしている。それを見る時、私は溢れる喜びに目を細め、この職場の人間全員が、一斉に哺乳瓶ポットに吸い付く日を夢見てしまうのである。
 もちろん、二番煎じね。

11月18日
「妹子さん、お肉事件のこと聞きました?」
 梅子お姉様が電話で報告する。
「実はね、先日松子様のもっこりした背中を見て、まあ一体、服の中に何を入れてるの? って首の下から手を突っ込んでみたら、それは松子様の背中の肉だったんです」
「・・・・・・」
「まあ、いつからこんなに肉付きが・・・。でもこの背中の形、どこかで見たことあるわって思ったら、隣に座ったお母様の背中も、同じようにもっこりしてるわけ。ああいやですわ。年をとったら、私もああなるのかしら・・・」

11月19日
 年を取ると腹と腰の周囲に肉がつくのはわかっていた。
 お母様は腹と尻を引っ込めるためのボディスーツと呼ばれる下着を、もう数十年愛用している。これを装着する時、ファスナーがなかなか閉まらず、お母様はいつも汗ダクダクになっているよな。ハッハッと息を切らし、鬼気迫る表情で腹を引っ込め、ファスナーを上げている。
 しかし背中にも「肉もっこり」というのは予想外であった。前側だけでなく、裏側にも油断できないということである。
「そして、お母様のジンマシン事件は聞きましたかッ!」
 梅子様はさらに報告したくてうずうずしているようであった。
「それは先日、お母様がいつものように銀次郎さんのオニギリを握っていた朝のことでした・・・」

11月20日
 梅子様自身は朝ぐっすり寝ているので、七時前に出勤する銀次郎氏のオニギリ(車内での朝食)は、毎朝お母様が握っている。
「すると、急に手が痒くなったので、変だなとは思ったらしいのです。でも手につけた塩のせいかしらんと思い、なおも握り続けていると、そのうち足まで痒くてたまらなくなってきた。でも、手にはオニギリを持っているから、我慢して最後まで握り続けたそうです・・・」
 そこまでして、義理の息子のためにお母様はオニギリを握っているというのに、妻の梅子様こそ握ってやれッ! と私は心で叫んでいたのである。
 そのうちお母様の痒みも治まったが、昼食を食べて暫くした頃、また痒くて痒くてたまらなくなったそうだ。皮膚も赤くなっている。病院に行くと、
「食べ物によるジンマシンですね」
 そう言えば前の晩、アジの刺身を食べた。そうとは知らずに昼食にも残りの四切れを食べたのが悪かったのかッ、とお母様が回想しているうち、医者は注射を一本、お母様にブスッと突き刺したという。
 ところが病院からの帰り道、お母様はまたまた全身、特に腹とお尻が痒くて痒くてたまらなくなったという。でもまさか公道の世間様の前で尻を掻くわけにもいかない。
 我慢出来なくなったお母様は、中三デパートのトイレに駆け込み、思いっきり全身を掻きまくったというのだ。

11月21日
「あの注射が悪かったんじゃないですか?」
 帰宅後、お母様は全身を亀の子タワシでこすりながら、医者に電話した。すると慌てた医者は、またすぐ来てくれとの返事。
 お母様はその日、スカートをはいていた。望むところだッと病院に引き返し、お母様は医者に勢いよくスカートをベロッとめくって、お尻をご覧に入れたという。
「医者も驚愕したんじゃない? って松子様は言うわけ。なんたってあの大きなお尻ですから」
「うーん・・・」
「そして、爪で掻きまくったから全身傷だらけだよって、私たちにグイッと腕をまくって見せるんですの。そしたらホントにビックリでした。その腕の太いことったらもう・・・」
 梅子様の興味は、お母様のジンマシンに関してなど微塵もなく、将来自分もお母様のような「お肉」になるのかという一点に絞られているようであった。
 今では体型が瓜二つになりつつあるお母様と松子様。「運命は変えられない」という真実を、まさに目撃していると言っていい現象であった。


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