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ロシアとハワイの、青森での遭遇・・・の巻

フラ2
二年前のお正月、大野家でハワイへ行ったときのスナップ。

Pink Tea Time 2001年7月号

ロシアとハワイの、青森での遭遇・・・の巻

六月一九日
 最近、私のコーヒーは夫の出がらしで淹れている。職場が変わった夫が、ポットにコーヒーを入れて持っていくようになったのがきっかけだった。
 正確に言えば「職場」ではない。大学だ。
 この春から休職し、夫は二年間、大学で学ぶことになったのである。
その間、無給。
よって今の世帯主は、フルタイムの仕事を持つ私。夫は私の扶養家族となっているのだ。
「これから、いよいよドケチ・モードに突入だな!」
 四月、夫は決心したように言った。
「えっ! じゃあ今までの生活は何だったの?」
 私はのけぞった。
 それを聞いた私のお母様は、こう仰ったという。
「これまでだって人間並みの物を食べていないんだ。今年は妹子達、餓死するんじゃないだろうね」
 大学の研究室にはコーヒー・メーカーなど存在せず、節約のため、それまでコーヒーは職場でしか飲まなかった夫は困惑した。
「仕方ない。自販機や食堂は高いから、ポットを持っていくよ」
 かくして夫は、毎朝コーヒーを淹れる。計量スプーン三・五杯分の豆で、五杯分のコーヒーを淹れるのである。
 すると、コーヒーの出がらしが、毎朝大量に出る。実にもったいない。振り返れば私は、アメリカン・コーヒー派だ。濃いのは胃にも悪い。
 夫が出かけた後、残っていた豆で一・五杯分のコーヒーを淹れてみたところ、これが全然オッケー。以来私のコーヒーは、出がらしコーヒーとなっているのだ。しかもコーヒー・フィルターも一枚で済むという副産物付きなので、ダブルでケチをしているという充実感も味わえるのである。
 ある朝、薄いコーヒーを飲みながらの会話。
私「お嬢様育ちの私に、ここまでドケチが身に付くとは思わなかったわ」 
夫「いやいや、こんなのドケチとは言えないよ」
私「あ、本当のドケチは、インスタント・コーヒーってことね」
夫「いや、本当のドケチはね、飲まないんだ」
私「・・・・」

六月二〇日
 ところでなあんと、このコーナーが一冊の本『桃色茶時間』になり、その売込みで大忙しの私。出ただけで、無条件に感謝感激の大事件ではあるが、出来ることなら売れて欲しい。これが売れないと、次の本が出ないからだ。
 例えば、一昨年前に亡くなったお父様の「あ! お骨がないッ!」葬式事件、それにまつわる「葬式三段の三十郎、大活躍」の巻なんかは、今後の高齢化社会を担う人々に必読の体験談だ。
 また、骨折で入院した私の「いびき大騒動」、同室になった人々の、アンビリーバボーな不幸の連続ドラマ「ザ・不幸クラブ」も捨てがたいと思うのである。
 これら四年分の原稿が、次の出番を待っている。なんとか売りたい! という意気込みなので、辣腕編集者F氏は、いつになく真剣に仕事に取り組んでいた…。

六月二〇日
「出版記念パーティやるから」
 ある日、F氏は言った。
「えッ? そんなのに誰が出たいんですか?」
「一応、やるものなのッ。来てくれた人の分だけ、本も売れるでしょッ!」
 だが、このご時世。しかも私は名もないライターだ。私が物書きをやっていることを知る人は、極々一部なので、そう簡単に人が集まるものではない。
「パーティだからねぇ。何か余興が必要だな。知合いに芸のある人、いないの?」
 ある日、辣腕編集者F氏は言った。
「えッ! げ、芸? …ドケチは芸に入りませんよね?」
 私はひどく困惑した。そして話し合いの結果、余興は河原崎理佳さんの「フラ・ダンス」しかないという結論に達したのである。
 理佳さんは、旅のライター。グラフ青森の連載「津軽三十三観音巡礼」と「花ごよみ」を書いている人だ。
 書ける文章の守備範囲は広く、かつ多芸多才。「生まれはハワイ」と公言するだけあった、「フラ」はプロ級。動きに共通点があるのか、阿波踊りも相当うまく、「アワ・オドラー」という肩書きもあるそうだ。
「昔、花屋に勤めていた」ので、アレンジ・フラワーは本当のプロだし、「しばらくアフリカにもいた」そうなので、ひょうたん楽器の演奏もする。今は五所川原で立佞武多の紙貼りをしているし、三日前は上手に自転車にも乗っていた。何でもデキル人だ。 
 ここまでくると、何が何だか正体のわからない人物、河原崎理佳氏…。
この「芸の塊(かたまり)」という理佳さんは、二つ返事で出演をOKしてくれ、めでたくパーティの余興は決定したのである。

六月二十一日
「本番に備えて、平和公園で練習したわよ。観客がいないと、私、いやなのよねぇ」
 と言う理佳さんは、「人前で、あがったことがない」という超人的な人物であった。
 素晴らしい…。
「人前であがらない」ということ自体、もう立派な「芸」である。例えば「心臓芸」という分野に分類されるのではないか。

フラ
これは理佳さんではありません。念のため



 さて、本番は理佳さんの独壇場だった。
 黄色地に色鮮やかな花模様を染め抜いたムームーで、颯爽と登場! 私の出版記念パーティのはずが、一気に会場は、タリラリラ~ンという南国ムードに占拠されきっていたのであった。
 お客様の目は一斉に、理佳さんに釘付け状態に。
 最前列の正面にいたセルゲイ(私の英語の先生でシャイなロシア人。二十四才)が、尖った鼻ツキで食い入るように見ていたのを、私は忘れられない。
 ロシアとハワイの、青森での遭遇…。著しくインターナショナルな構図であった。
 波乱含みだったパーティも無事終了。あとは読者の皆様の応援をお願いするばかりである



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