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日本市場の調査を命じられた元KGBの巻

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ようちえんでは「ゆっきー」と呼ばれる男、由紀夫。


Pink Tea Time 2001年5月号

日本市場の調査を命じられた元KGBの巻

4月14日(土)
 私は「ヤクザ映画」が大嫌いである。
 とはいえ、ヤクザ映画を論じられるほど数を見たことはないので、ヤクザ映画大好き人間とか、高倉健さんファン、また、的場浩司や白龍が大好きな人々に、
「見たこともないのに、嫌いとか言うなッ」
 と非難されるかもしれない。
 しかし、嫌いだから見ないのは当然だ。それに、健さんや渡哲也が出ていた昔の映画と今のそれでは、ちょっと違う気もする。
 昔のチャンバラや銃撃戦では、バタバタと人が死んでも、出血が全然なかった気がするし、組織に追われる渡哲也が何回転んでも、薄い水色の、ちょっとラメが入ったようなスーツは、彼が起き上がる時にはパリッとしていた。かなり道端で転んだはずなのに、途中のトイレで着替えでもしたのか、しつこい泥んこ汚れがまるでなかった。
 しかし今のヤクザ映画は、これほどクリーンではない。もっと、そして必要以上にリアルである。
 これでもか、これでもかというくらい流血ドバドバだし、一体いつ着替えたのかと思うようなシーンは少なく、服は破けてドロドロである。そういう点で昔のヤクザ映画は、現代ヤクザ映画と一線を画しているのである(ってのは、独断だけど)。
 このクリーンな点に限り、昔のヤクザ映画に多少、好感が持てるとしても、一貫して私が承服できないのは、第一に所謂「チャカ」である。なぜ登場人物が全員「チャカ」、つまり拳銃を持っているのであろうか。
 だって今まで生きてきて、私は拳銃を一度も見たことがない。だから戦争映画以外で、登場人物ほぼ全員が拳銃持参、しかも一発で人を殺せるほど、銃の使い方を熟知しているという不自然な設定を、どうしても受け入れることができないのだ。一体皆、どこで練習しているのか?
 こういうウソ臭さが、私は許せない。
 いや違う。それは世間知らずなだけで、巷では武装したヤクザが密かに闘争しているのを、君は知らないねぇ、と非難する人もいるだろう。
 確かに、日本はスパイ規制のないスパイ天国であり、それを私達が知らないだけで、実はCIAに雇われた人が、相当数うろついているという話を聞いたことがあるよな。
 実際に今日、夫とマエダ・ストアに行った時のことだ。いつも通り、お刺身コーナーでぷらぷら値段をチェックしていた夫が、突然私の方へ、小走りに接近してくるのである。いつになく、真に迫った顔であった。そして太い眉毛を二、三度上下させながら、他人の目を憚るように、そっと囁くではないか。
「ちょっと、ちょっと、大変だよ! Aスーパーでいつも六百円のチリ産のウニが、ここは三九八円なんだ!」
 この時私は、この男はひょっとして、日本市場の調査を命じられた元KGBではないかと疑ったほどであった。
 まあ、このような「裏社会」というのが現に存在するとしても、それにしてもヤクザ映画の設定はウソ臭い。それよりは『名探偵コナン』のコナン君の方が、いやあ素晴らしい推理力だという気になって、真剣に見入ることが出来たりするのである。

4月15日(日)
 話が相当逸れてしまったが、要するに何が言いたいかというと、私はヤクザ映画の「セックス」と「暴力」が大嫌いなのである。
 ちゃんと見たことがないので知らないが、たまにテレビで『極妻シリーズ』なんかをチラッと見掛けたりすると、やっぱりお決まりのセックスシーンがある。しかも女が見て実に不愉快な設定であることが多い。
 そして、たいていが「必要以上」なのである。何もここまでやらなくても、という印象しか残らない「暴力」と「セックス」。つまり『水戸黄門』における由美かおるの入浴シーンのようなもので、全くの視聴率稼ぎと言っていいと思う。
 別に私は「セックス」と「暴力」が全て嫌いなのではない。
 私は昨年度の映画ナンバーワンは、洋画なら『ファイト・クラブ』(ブラッド・ピット主演)だと思っているが、あれなんか暴力大爆発である。セックスシーンでいい映画は、ちょっと思いつかないが、ホモ大好き人間の私なので、『ブエノスアイレス』の冒頭シーンなんかは「うひょひょ」と思いながら、食い入るように見た。でもこれは正直、気持ち悪いという気もある。怖い物見たさ、とでも言おうか。

4月16日(月)
 さて、本題である。
 ヤクザ映画の話をしたのは、実は豊川悦司様が御出演なさったヤクザ映画『新・仁義無き戦い』のことを書きたかったからだ。
 そして、この映画は別格である。これは「ヤクザ映画」の範疇には入らない。あえて分類するなら「アイドル映画」なのである(あくまで主観。念のため)。
 私は、あの豊川様がヤクザ映画に御出演なさるというので、暫くの間、この小さな心を激しく傷めていた。しかも監督が、『ビリケン』『どついたるねん』、そして私が映画初出演した『傷だらけの天使』の監督・阪本順治氏と聞いたとき、その痛みは倍増したのである。なんで阪本監督が、ヤクザ物なんか・・・と。
 嫌々ながらも私は決心し、映画館へ出掛けた。
 すると、違うのである。私が想像した、無意味に血がドバドバの映画ではないのである。画面には、最初から最後まで目が離せない、心地好い緊張感が漲っていたのだ。
 例えば黒塗りの車の列が、田圃の中の細い道で、陽炎に揺らめくところ。その車から次々降りる幹部達の、いかつい顔のスローモーション。それを支える、強烈でドラマチックなギターの旋律・・・。画面のパワーと役者の「顔」の迫力、そして音楽に圧倒されてしまう映画なのだ。
 言うまでもなく、豊川様が素晴らしい。
 特に、組長の骨を密かに拾う時の、指の長さとハンカチの白さ。幼なじみの布袋寅泰と擦れ違い、肩ごしに振り返る、その哀愁漂う肩の角度など、細かいところにいちいちウットリだ。
 美しい男を更に美しく撮る阪本監督のテクニック。脱帽である。
 それに、懸念されたセックスシーンが皆無。もう一度見たいと思ったヤクザ映画は、これが初めてである。
 そして今年の「あおもり映画祭」では、なんとこの阪本順治監督を特集する。もちろん『新・仁義無き戦い』も上映するが、一体、今回のゲストは誰なの?
 もう一度、豊川様にお会いできるなら、酒もイビキもやめる覚悟の私だが、現在はドラマ『ラブ・ストーリー』でお忙しそう・・。 そんな事情で最近は、色々と気を揉む春の日々なのである。


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