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大学女子寮の思い出の巻

舌を出す男
床を舐める由紀夫。まだ食い足りないのか?


Pink Tea Time 2000年11月号

大学女子寮の思い出の巻

10月22日(日)
「君さぁ、今日のラブ運、よくないみたいだよ」
 と夫。朝からインターネットで星占いを見ているのである。
 呆れる私。
「ラブ運が悪い? そんなこと今更どうだっていいのよッ! 金運は? 金運!」
「金運はねぇ、・・・普通だって」
 パソコン買って嬉しいからって、朝から妻のラブ運を調べる夫がいるであろうか。
 そう、このパソコンである。ついにドケチの夫が購入したピカピカの新品だ。デンコードーの大バーゲンで五万九九九九円。限定10台限りだったのを、朝から二人、並んで手に入れたお宝である。
 そして横に並ぶカラープリンター、三千円。こちらはコジマ新店舗開店セールの目玉商品、限定20台! これも夫が長蛇の列の百番目に並び、必死でゲットしたレア物だ。
 夫が「パソコンを買う」と言い始めてから早五、六年。用意周到で、無駄な金は一円も出さない夫が、パソコンの下調べをしだしてから確実に5年は経っているだろう。
 それが今回ついに購入に到ったのは、5年の研究結果による底値より、約1万円は安いと判断したためだそうだ。
 この5年間、実に長かった。
「一体、いつになったらパソコン買うのよ」
 と私が言うと、
「だって、今、三十万円の物が、あッと言う間に半額だよ。それにもう少し待てば、もっといい機種も出るじゃないか」
 ・・・・夫の理屈でいくと日進月歩のパソコンは、永遠に買えないはずなのである。

10月23日(月)
「今晩、私達は夜逃げする。今必要な物だけを持ち、後は捨てるんだッ!」
 という意気込みで、物をどんどん捨てなきゃならんと新聞のマンガに書いてあった。
「ホント、その通りよ。ついにパソコンを入れるんだから、この溢れる物をジャンジャン捨てて、部屋をスッキリさせましょう!」
 と私が言うと、
「いや、捨てるものは何もない」
 と断言する夫。
「エッ! じゃ夜逃げする時、全部持ってくつもりッ?」
 と追求すると、夫。
「いや、全部捨てていく。僕の持ち物はガラクタばかりだからね」
「・・・・・・・」
 そう言う夫が着ているTシャツは今日も15年モノ。夫の理屈でいけば、永遠にガラクタは無くならないのである。

10月24日(火)
 さて、映画『愛のコリーダ完全版』が公開された。
 『愛のコリーダ』・・・・、懐かしの名作である。
 どこが名作かと言うと、私が生涯で初めて「痴漢に遭遇した映画」という点で、忘れられない歴史的名作なのだ。内容はあまりに昔で、ほとんど覚えていない。
 大学生の頃。
 芸術かポルノか? という大変な物議をかもしているということで、これは見なきゃいかん! 私がその決着を付けてやる! という意気込みで、一人私は『愛のコリーダ』を鑑賞しに劇場に行った。
 かなり意気込んで行ったわりに、劇場はガラガラだった。
 ところがである。一人の男が、ツツッとやって来て、私の隣に座るではないか。
 不思議に思った。
 この男、知り合いだったろうか・・・?
でも知り合いなら「ヨッ!」と片手を上げた挨拶ぐらい、一つあってもよさそうなものだ。うーむ、妙になれなれしい。こいつは果たして誰であったか?
 そう思いつつも、銀幕のサダの赤い腰巻きを見ていると、直ちに私の太股の辺りに何やらうごめく、モゾモゾとした感触を感じたのである。
 はッはーん。
 これが噂に聞く「痴漢」というものであるな。なるほど、不可解なほど大胆な行動をとるものだ。こんなに劇場はガラガラなんだから、すぐ女に逃げられて終わりじゃーんなどと、しばらく痴漢のウスラバカさ加減に思いを致していた私であったが、さすがに、
「アッ、こうしちゃおられん」
 と我に帰り、そそくさと私は別の席へと移動したのであった。
 するとその痴漢も、また新たなる標的を求めて旅に出たのだろう。すぐにススッと立ち上がり、闇に紛れて場外へと去っていった。
 そしてこの『コリーダ的痴漢』以来、私が痴漢に遭遇することは、永遠になかったのである。

10月25日(水)
 私の青春は悲哀に満ちていた。
 当時、私は大学の女子寮に住んでいたのだが、そこに時々男からのイタズラ電話がかかってくるというのが日常茶飯事となっていた。
 そして他の寮生が電話に出ると、はあはあと息の荒い男の声で、
「ねぇねぇ、今なにしてるの?」
「今日の下着は何色かな? ふふふ」
 などと、大変ダイレクトに聞かれるらしい。しかし私が、
「はい、女子寮です」
と電話に出ると、さっきまで「はぁはぁ」言っていた男が一発で、
「ガチャッ!」
 と切ってしまうのだ。
 一体、どうしたことであろうか。
 皆が言うには、私は普通の女より声が低いので、痴漢は、
「間違って、男子寮にかけてしまった!」
 と思うらしい。だから私は、一度も今日の下着の色を答えた経験がなかった。
 そして私は「女子寮・痴漢電話対策本部」となった。
「ふふふ、今どんな服着てるの? 裸にエプロン?」
 などといういかがわしい電話がくると、
「ちょっと妹子さーん、また痴漢よーぅ」
 と、皆が私に取り次ぐ。寮生には、めっきり痴漢電話が減ったと感謝されたが、私は面白くなかった。だって一度でいいから、
「えーッ、今日のパンツ? 今日の妹子はねぇ、肌色よぉ。うふふ」
 などと回答してみたいものだという願望があったのである。
 私は時々、こんなことでいいのだろうかという焦燥感を抱いた。だって知り合いや雑誌の話によると、痴漢なんて日常茶飯事で、犬の散歩のように当たり前の、街の風景の一部らしいではないか。
 そんな昔話を職場でしていたら、ある同僚の男性は、女の痴漢に会ったことがあると言う。別の同僚などは、男であるにもかかわらず、男の痴漢に数回会ったなど、とんでもないことを言い出した。
 ゲゲッ! こんなことでいいのか? こうなると、なんだか「インターネットで、ラブ運みてみよう」などという気になるのは、どうしたことだろうか。


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