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うぉーッ、この男、むちゃくちゃ逞しいッ!の巻

朝
寝起きの悪い由紀夫。犬なのに。




Pink Tea Time 2000年10月号

うぉーッ、この男、むちゃくちゃ逞しいッ!の巻

9月23日(土)
 20世紀最後のオリンピックである。
 中田英寿はPKを外し、うちの夫は怒り心頭に発し、昨日「やろう!」と言っていた庭のリフォームも、サッカーが負けると態度をコロッと変えて、
「カネかかるだろッ! 中止だ! 中止!」
 と、いきなり言いだす始末。
 日本が負けたお陰で、全国にどれだけ割りを食った人間がいるかと思うと、その数も計り知れないような気がするのである。
 この「20世紀最期のオリンピック」のキーワードを挙げるとすれば、恐らく「男女平等」だろうと思う。
 昨日、我が家に遊びにきた梅子お姉様がおっしゃったのだ。
「柔道の試合を見ていたの。金髪の男とロン毛を束ねた男が組んでるわけ。ウリャーッ! とか言って。で、終わったらね、アナウンサーが〔女子柔道78?級でした!〕って言うの。あれって女だったのね」
「・・・・・・・」
 その時、茶の間にいた私たちは、次の瞬間、「パッ!」と二人同時にテレビの画面を見ていた。オリンピック水泳の決勝で、スタートを告げる笛が吹かれたからである。
 プールの底から、泳ぐ選手をぐんぐんぐんぐん追いかけるという、大胆なカメラ・アングルが、私たちの目を釘付けにする。
 種目はメドレー・リレー。この選手はバタフライ担当のようだ。
 水底から写すバタフライのフォームには、何やら感慨深い新たな発見がある。陸上からは決して想像のできない、まるで蝉の脱皮のような運動を、水面下で繰り返しているのであった。選手たちは横一線に並び、一斉にモゴモゴと体をゆする。
 そして、「ガバッ!」と大きく両腕をかきあげると間もなく、「ブブーッ!」と左右の鼻穴から噴射される、ダイナミックな二本の鼻息。
 噴射された鼻息は、水中で放射状に広がる空気の太い柱となり、百年生きた象アザラシの、立派なおヒゲのようにも見える(象アザラシにそんなヒゲがあるかどうかは知らないが)。
 この強烈な鼻息だけで、かなりの馬力が泳ぎに加わるのだろう。新しい発見である。
 そして、筋骨隆々たる肩。見事な逆三角形スタイル・・・。
「うぉーッ、この男、むちゃくちゃ逞しいッ」
 レースが終わり、水から上がると、上で待っていたチームメイトは、金髪ロン毛の女性であった。
「うーむ。女子メドレー・リレーか・・・」

9月24日(日)
 前回のアトランタ五輪まで、水泳の男・女を区別するのに全く問題はなかった。
 胸を隠した「ワンピース水着」が女、上半身裸で、「マイクロ・ビキニパンツ」が男。万人が見て、ハッキリ区別がついたものである。このビキニが今にも脱げそうなほど面積が小さく、いっそ「ジャパニーズ・フンドシ」の方が勝手がいいのではないかと思ったほどだった。
 ところが、このシドニー五輪ときたらどうであろうか。「サメ肌水着」とかいう、全く新しい概念の水着が、全世界を席巻しようとしている。
 なんでも、サメの皮膚に近づけた、水抵抗の低い表皮を使った水着らしく、それを着るとジョーズのように泳げるらしい。
 お陰で水着が「パンツ」でなく「股引き」型に。男女共「サメ肌股引き」だけでなく、ウェットスーツのように全身を包んだ水着が増えたため、体型だけでは男女が分からないのである。

9月25日(月)
 それにひきかえ、実にわかりやすいのは、シンクロナイズド・スイミングであろう。厚化粧に髪飾り、スパンコールの水着・・・。これが男だったら問題である。
 しかし、男女別は分かりやすいにしても、この競技には疑問が残るのだ。オリンピックの中でも、際立って不自然な種目だと思うが、なぜこんなスポーツがあるのかという疑問が、どうしても拭い去れない。
 なぜわざわざ水中で踊らなければならないのか。一体、起源は何なのか。オバQのような女が二人、水中で逆立ちするのはなぜなのか? 男にもやらせないのか? など、さまざまな疑問がわきおこってくる。
 ハンマー投げとか棒高跳びなら、不自然ながらも納得できる。あれは昔の戦争が起源だと言うからね。「道具を使いこなす、人類の進化」というものを、まざまざと見せつけてくれるではないか。
 しかし、いきなりオバQが「ヌッ!」と水面に顔を出し、「ニッ!」と歪んだ口で微笑まれてもなぁ、と思うのは私だけなのか。

9月25日(月)
 私も年だよとつくづく思い知らされたのは、女子マラソンである。
 私は今までマラソン中継を、最初から最後まで見たことが一度もない。あんな、ただ走るだけの退屈な競技、一体どこが面白いのかわからなかったのだ。苦しそうだし。
 しかも二時間半だ。じっと二時間半、テレビの前に座ること自体、私には絶えがたかった。
 生前のお父様やお婆様がよく見てたよな。だから「マラソンは、ヒマな年寄りの娯楽」というイメージが、私の中には定着していたと言っていい。
 第一、スタートが朝9時である。絶対に起きられない時間だ。休日ごそごそ起きだすのは、ふだんなら10時近く。
 松子お姉様は年のせいで、最近いくら夜遅くても、朝5時には「パッチリ」目が覚めるとおっしゃっていたが、「ウッソー! 私に限って、それはないわ」と思っていたのだ。そして最近、私が「パッチリ」目覚めるのは、朝5時である。
 シドニー五輪女子マラソンのスタートは、日本時間の朝7時。当日私は、朝6時45分、万全の態勢でテレビの前に座っていた。
 そして高橋尚子、ゴール間近の9時! ピンポーンとベルを鳴らして、約束していた庭師のオヤジが来る。庭木の剪定を打ち合わせにきたのだ。
「チッ! あのオヤジ、時間通りに来やがって・・・。いいとこなのにッ!」
 早々に打合せを切り上げてオヤジを帰し、テレビに向かって猛ダッシュする。すると、なんと高橋尚子、二位シモンを振り切り、トップ独走ではないかッ!
「ギャーッ! ダッ、ダガハシーッ!」
「ウォーッ! ぬッ、抜かれるゥーッ!」
 本当に「アッ!」という間に月日は去ってゆく。「シンクロナイズド・スイミング男子部門」が出来るのも、そう遠い日ではないかもしれない。
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