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Pink Tea Time 2007年12月号 

十二月九日

素っ裸で、ずんずん千人風呂に入ってゆくの巻

確かNHKの地方番組だったと思うが、大変パンチの効いたTVニュースに、感動したことがある。ある漁港で、
「トドの被害に頭を痛めている」
というのだ。なんでも、漁師が仕掛けた網にかかった大量のイワシを、トドがほとんど食い逃げしてしまうらしい。
これは大変な被害である。
トドは、図体が異様に大きい。私はトドと二人で並んでみたことがないので断言できないが、ウィキペディア百科事典によると、「トドはアシカ科の中で最も大きい種類であり、雄の体長は最長三・三m。体重は最大千百㎏に達する」というから、多分、朝青龍も呆れるほど大きいのではないだろうか。当然、食べるエサの量も半端ではないと思う。
だって体重8㎏の由紀夫でさえ、以前1㎏のエサを軽々と食べたということがあった。由紀夫の胃袋に、底はない。放埒(ほうらつ)極まりない由紀夫という男は、一体どこまでエサを食うのか実験してみたという話は、以前小欄に書いたとおり。
その時、食器に山と盛られたエサを前に、由紀夫は最初こそ小首を「クリッ」「クリッ」と斜めにかしげた後、今度は私とエサを見比べては訝(いぶか)しんでいたものである。
「な、なぜ、こんなに大量に?」
「ひょっとして今日は、正月?」
などと思っていたに違いない。
しかし訝しんでいたのもつかの間。
由紀夫は次の瞬間喜びに震えながら、ザンブと食器に、黒く潰れた鼻面(はなづら)を突っ込んだ。そして、「ウォ~、ウォ~」と独りごちながら、確実に一定のリズムを刻み、「カッ、カッ、カッ」とエサを平らげていくではないか。そして完食した後も、まだ食い足りないかのごとく、食器をいつまでも名残惜しそうに、ペロペロなめ続けていたのである。
「ウォー…」
驚きのあまり、次に唸っていたのは私であった。この男、底なしだとは思っていたが、一体どこまで食うつもりなのか…。
このように由紀夫でさえ、エサ1㎏である。トドなら推して知るべし。一匹で、イワシ百㎏は楽勝だろう。
話がかなり脇道に逸れてしまったが、とにかくそのニュースは、漁師の悲痛な叫びとトドへの怒りを、切々と報じていた。
イワシは全部取られる、網は破れて修理代はかかる、トドは規制があって安易に殺せない…と、漁師は踏んだり蹴ったりらしい。
そして報道記者は最後にこう締めくくった。
「このようにトドの被害は、トドまるところを知りません」
「・・・」
 今度は是非、農家のサル被害、あるいはクマの畑荒らしなどについて報道してもらいたいと私は思った。次は一体、どんなオヤジギャグで話を落とすのか?
 ニュースにさえも「落ち」をつけ、ついつい話をまとめてしまう、報道記者魂。さらに、暗い世相を明るく盛り上げようというサービス精神。誠にあっぱれという他はない。

十二月十日
 さて先月から、温泉の取材を二本やることになった。酸ヶ湯と大鰐である。
しかし私は温泉好きではあるが、蘊蓄を語れる知識も経験もなく、こりゃちょっと申し訳ないんじゃないかと思いつつ、ただただお金のために、二つ返事で引き受けたのだった。
 しかしそれじゃあお里が知れ、物書きとして見限られるかもしれない。だったら一応、二本目の大鰐取材は前もって下見でもして、足元を固めてみようという了見をおこし、皆さんおなじみの「旅するライター」河原崎理佳氏にも同行してもらうことにした。理佳さんは無類の温泉好きで、県内の温泉は相当数制覇している。まさに今回の下見には、最適の人物であった。
 ところが諸事情があり、一本目の本取材である酸ヶ湯温泉に、偶然彼女が同行することになった。酸ヶ湯と言えば千人風呂。仙人風呂と言えば混浴。その混浴で私は、理佳さんの実力を、つくづく思い知ったのであった…。

十二月十一日
 実は理佳さん、無類の温泉好きであると同時に、大の「混浴好き」であった。
 さすがに私は混浴には躊躇していた。というのも取材なので、カメラマンとコーディネーター(共に男性)同行であり、当然写真も撮られる。せいぜい肩上のショットであろうが、乙女心として躊躇するのは当然だろう。
 ところが理佳さんは違う。
ある日混浴で大の字になって寝ていたら、裸のオヤジが理佳さんの顔の上を跨いでいったという伝説の持ち主である。そこまで混浴と理佳さんは一体化していると言っていい。
よって当然というか理佳さんは、嬉々として服を脱ぎ、素っ裸でずんずん千人風呂に入ってゆくので、仕方なく私も、ずんずん入って行かざるをえなくなった。流石に私はタオルで前面を隠していたが、理佳さんは全くの無防備。そして湯船に浸かり、カメラマンの注文で色々とポーズを取った後、私にこういうのである。
「私はね、妹子さん。混浴モデルでもいいと思ってるんですよ。そう混浴モデルね」
「混浴モデル…」
 しかし理佳さんは以前、本邦初の「布団モデル」になりたいという遠大なる夢を語ったことがあった(二〇〇六年五月号参照)。いつでもどこでも何時間でも寝られるという彼女の特技を生かし、デパートの布団売場で延々寝てみせる。そして布団の寝心地を実証する「布団実演販売」という分野を確立したいと言ったのだった。
その時も私は相当に呆然としたが、今回も、本当に呆れていたと言っていい。
そんな私にお構いなく、彼女は続けた。
「よく雑誌に、女性モデルが温泉に浸かって、首から上だけ写ってるでしょ。あれはありきたりですよ。私なら仁王立ちでもいいですね。いいじゃないですか、仁王立ち。ふっふっふ」
 と、再び彼女は夢を語り始める。
「ま、仁王立ちの理佳とでも呼んでいただきやしょうか。混浴モデルとなってですね、どの雑誌でも、どの温泉でも仁王立ち。全国津々浦々で仁王立ち。それで話題をさらうんです。但し、普通の美女モデルなら、局所にモザイクがかかっていますが、私の場合は、局所はそのままで、顔にモザイクがかかるでしょうねぇ、多分」
「うーん…。顔だけにモザイク…」
 そして千人風呂取材の翌日、我々二人は大鰐を訪れた。さほど大きくない温泉町をざっと回り、取材の方針を固めた後、町民のオアシスである「鰐COME」の露天風呂で、さらに夢を語り合ったのである。(次号へ続く)
 
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COMMENTS

ニュースの落ち

「トドの被害はトドまるところを知らない」・・・・さすがであるv-40
とくればやはり、「サルの被害は早くサルことを祈る」
そして、「クマの畑荒らしにはクマったもんだ」と来るのが妥当かも~v-8

千人風呂はさすがにまだ躊躇してしまう私だけに、理香様には脱帽!
いつの日「顔だけにモザイク」の「混浴モデル」として脚光を浴びることを、密かに楽しみにしています。

No title

素晴らしいオヤジギャグ。はっはー!感動つかまつりました。
千人風呂、行ってみてえ! 失う物は、もう何もないわけ、私。

そんなことおっしゃって妹子さん。

仁王立ちしてないでしょ、まだ (・∀・)ニラニラ

そういえば。

いや、人の決め技は取っちゃいけないでしょう、やっぱり。
仁王立ちは、koroさんにお任せということで。

じゃあ、あれだ。

シンクロの、足技。
上半身お湯に沈めて。
ウォーターボーイズとか流行ったから、妹子さんは


『ホットスプリング・レディー』


なにやら怪しげな・・・・・


つか、こまめにコメントにレスするの大変でしょ。
相手を見てテキトーでいいんですよ、こういうのは。

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